郷に入っては郷に従えVS郷に入っては自分のやり方を通す 1


今朝、朝食を食べに行った時、たまたまTVのNHKで「超人手不足時代の秘策」という番組がやっていました。

タイトルとNHKの放送カラーから、すぐ外国人労働者受け入れのことをだなと思い見ていましたが、気になるシーンがありました。

とある日本の病院で、看護師としてアジア人の女性を受け入れたが、その外国人女性は報連相(ほうれんそう)ができず、常に自分勝手に動いてしまったり、同僚に謝罪の言葉が言えなかったりで問題が発生していたとのこと。

その解決策としてその病院では

多数派の日本人が、少数の外国人に合わせる』(TV画面テロップ付き)

ようにしたそうです。結果それにより病院の風通しもよくなった、離職率も減った、外国人も働きやすくなってよかったそうです。

うーん、ついにここまで来たかという感想です。

各国企業によって傾向がある経営スタイル

日本で英語公用語化が導入されたり、外国人特区が構想されたり、日本は、外国や外国人に対して「郷に入っては郷に従え」という諺を一切用いません。

Ecomオフィス

一方で、日本人や日本企業が海外に行くと

「郷に入っては郷に従え」

「我々はその国の文化を尊重しよう」

と言い、

現地の人も

「郷に入っては郷に従え」

「我が国のルールに従え」

という考えを持っています。

例えば、オンライン英会話の盛んなフィリピンに行くと、アメリカや韓国の会社が多いですが、

彼らはフィリピン現地でもしっかりアメリカ式の労働スタイル(Job descriptionで役割を明確に分担。まぁフィリピン自体がアメリカ文化なのですが・・・。)や、韓国式労働スタイル(軍隊式の厳しい上下関係、体育会系)を貫いていたりします。

一方で、日本の会社は、

”日本のやり方は世界の非常識”、

”極力現地の労働者のスタイルにあわせよう”

と、現地でローカルの人と対話し、受け入れ、

まるでフィリピンローカル会社のような郷に入った経営を模索しています。

例の場所としては、フィリピンでなくて、日本でもいいです。

日本のアメリカ系会社は、アメリカ本社の労働カルチャーを持ってきて、そこで働く日本人はそれに従います。

決して「郷に入っては郷に従え」「ここは日本だよ」という文句は出てきません。

仮に、「ここは日本だから(外国企業は)日本のルールにあわせるべきだ」

と言ったりすれば、

いつまでもそうした島国根性ではだめだ!

これからはグローバルだよ。君。

とか、

日本も変わらなければいけない!』、

といった反論が出てきたりします。

ここだけ見ると日本人って優しいのかもや、奇妙なダブルスタンダードが日本にあるなぁで終わってしまいますが、

そうしたダブルスタンダードをすることのデメリットの部分の議論が欠けているように思います。

最初のTV番組で出てきた病院の例では、外国人のやり方に日本人があわせることで外国人スタッフも含めた離職率も下がるかもしれません。

ただ報連相や、確認の徹底などの業務フローが疎かになれば、一番重要な安全面などで支障を来す恐れがでてきます。

また、英語公用語化を進める日本企業にしても、フィリピンでフィリピンやアメリカ式を進める日本企業にしてもせっかくの日本独自のカルチャーを捨て、相手の土俵にのって戦うことは大きなハンディになると思います。

日本の常識が、時に世界の非常識

会社概要

よく中国や韓国はグローバルに取り込まれていると言われることがありますが、

彼らのすごいところはグローバルに取り込まれつつも自分たちのカルチャーを主張する力がとても強いところです。

外国に行っても、中国、韓国の泥臭いやり方や、寝技プレーには一種のコーポレートカルチャーならぬ、カントリーカルチャーを感じ、他の欧米企業はマネできない独自性を出していると思います。

そういう現場を見る度に、「スゴイな!」とある意味、驚きと尊敬の念を感じます。

日本人や日本企業、日本政府は、他の国と比べて相対的に外国に免疫が少ないせいか、外国に優しくすることが外国慣れしている、上手くやっている、という印象を持ちがちです。

最初の日本の病院の例でも、少なくとも外国人に日本式にあわせてもらう、そうでなければ必要ないですぐらいの気持ちで接するのが、いわゆるグローバル・スタンダードだと思います。

日本は、移民受け入れの前にやるべきことがある。

そうすると日本で働いてくれる人(生産年齢人口)が足りないのでは?という話しがくると思いますが大丈夫です。

日本の労働参加率は75%程度です。韓国はもっと数値は低いですが、日本はデフレのせいで総じて労働参加率が低いです。

これまでデフレ環境で働きたくても働けていなかったニートや生活保護、博士などの高学歴失業者の人が日本国内にたくさんいますので、そういう人を労働市場に呼び込んで、せめてオランダ並の労働参加率85%くらいに日本の皆が働ける社会をまず作っていくべきであると私は思います。日本人の労働参加率を10%あげられれば、800万人の労働力が生まれます。

労働力確保としての移民を考えるのは、正直そうした日本人の余剰労働力が解消されてからでよい

と私は思っています。


About 成田 勝行

株式会社イーコミュニケーション代表取締役社長。 慶應義塾大学総合政策学部(SFC)卒業後、世界最大のコンサルティング会社Accentureに新卒入社。退社後、暫くダンス活動(Ballet, Jazz, Hiphop, House, Break'in)に専念。2005年イーコミュニケーション創業。 趣味は、経済ウォッチングと言語習得。 踊れて、経済が語れる、経営者という領域で、世界一を密かに目指す。

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