バレエのオリンピック種目化はありえるのか?


バレエも、フィギア同様、技術と表現の両輪で成り立っている。

冬期オリンピックの熱戦が終わり、今はパラリンピックの熱戦が行われていますね。

フィギアスケートでは、特に日本男子が頑張り、とても盛り上がったのではないでしょうか?

フィギアを見ると、たまに出てくる意見として、

「氷上のバレエであるフィギアスケートがあるのに、バレエは、なぜオリンピックに採用されないのか?」
というものがあります。

ネット上で調べてみたら、これを口にすると、色々と叩かれるみたいです。

「バレエは、技を競う”競技”ではない、芸術だ!」
とか、

「バレエは、演じるもの、演劇やミュージカル、能や歌舞伎をオリンピック採用にしろ、というくらいバカげたものだ!!」

といった意見がありました。

ただ、正直、こうした意見をする人は、バレエをやったことがない人達なのでは?、と正直思ったりします。

もちろん、バレエは芸術です。

ですが、競技の側面も持っているのは経験者なら否定できません。

バレエを真剣に打ち込んだことがあれば、バレエの完成された奥深い技術『アンディオール』、1ミリも狂わせない『ポジションの正確性』。

そうした”匠の技”は、フィギアスケートと同様、競技カテゴリに持っていって、競うのに十分値する”究極の技”だと個人的には思っています。


*アンディオール:無理に和訳すると『外旋』。
インナーマッスルを使い、身体全体を巡る螺旋のような力の動き。
アンディオールが効いていることで、重力をあまり感じさせずに踊れたり、安定して、演技ができる。

全幕ものと、ガラの2種類あるバレエ

もちろん、ストーリーと共にある眠れる森の美女や、白鳥といった演技を押さえた全幕もののバレエは、並行してあってよいのですが、

いわゆる『ガラ』と呼ばれる、2,3分の見せ場となるバリエーションを音楽に合わせて踊りながら、フィギアのように、『技術点』と、『芸術点』で採点されるような競技型バレエも 出てもよいのでは?と、バレエの技術のすごさを感じながら思う次第です。

(もちろん、曲の一部分を取り出したガラは邪道だ!という意見があるのも知っています。が、全幕は長すぎて、今のYouTubeなど、短時間視聴に慣れた若者世代には合わなくなってきていると思います。)

仮に、バレエをオリンピックに採用させようと思う場合、世界大会等の開催実績が必要となります。

既に、バレエコンクールなどでは、技術と表現を見ながら採点、順位をつけるというものがあり、下記のような有名なコンクールもあります。

ローザンヌ国際コンクールや、YAGP(ユースアメリカングランプリ)、ヴァルナ国際
などがそうです。

しかし、いずれも、有名バレエ団ルートにいない、日本も含めた、言い方悪いですが、2軍以下の選手が参加して、欧州の有名バレエ団入りを狙うというコンクールなので、

世界の1軍たる、欧州・ロシア勢がほとんど参加していません。

ですので、本当の意味で世界大会とは言えないのが現状です。

バレエ人口の減少問題

話を少し戻しますが、

そもそも、今回なぜ、フィギアを見ながら、バレエをオリンピック種目に、という話を少し考えたかというと、

1つが、私自身が、バレエの技術(アンディオール)やポジションの正確性、に比類ない可能性を感じているから、

2つ目が、バレエ人口が大幅に減ってきているという記事を最近読んだ点(日本においてバレエ人口40万だったのが、10年で10万人減の30万人?)。

私は、プロではないし、バレエ業界の人間でもないので、別にバレエ人口が減ろうが全く関係ないのですが、自分が愛している分、やはりバレエ人口は減るより、増えてほしいものです。

今回のオリンピックの活躍、羽生人気で、フィギアスケート教室は満員御礼。

フィギアをやってみたいという子供達も増えているそうです。

恐らく、たぶんそれらは、バレエをやりたかった(やっている)子から、流れている部分もあるのだと思います・・・。

バレエをオリンピック種目になど、品がない、邪道だ、そんな必要はない、芸術を冒涜するのか?バレエはフィギアとは違う!と言うのは自由ですが、

新体操、フィギアスケートに、はたまた学校教育で採用されたHiphop、これらに子供達の夢が移り、さらには、競技ダンス(社交ダンス)までオリンピック種目入りを狙っているとのことで、せっかくダンス業界に唯一の、バレエにしかない技術がたくさんあるのだから、競技としてのバレエも可能性としてもっていくことが重要なのでは?

と冬季五輪のフィギアを見て感じた次第です。

バレエ業界のマーケティングの話は、面白そうなので、ちょっと調べて別に書いてみたいと思います。


About 成田 勝行

株式会社イーコミュニケーション代表取締役社長。 慶應義塾大学総合政策学部(SFC)卒業後、世界最大のコンサルティング会社Accentureに新卒入社。退社後、暫くダンス活動(Ballet, Jazz, Hiphop, House, Break'in)に専念。2005年イーコミュニケーション創業。 趣味は、経済ウォッチングと言語習得。 踊れて、経済が語れる、経営者という領域で、世界一を密かに目指す。

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