昨今、ビジネス界隈で、MFAという言葉を時々耳にします。
Master of Fine Artsの略で、美術学修士、芸術学修士と呼ばれています。
ちなみに、MBAは、Master of Business Administorationで経営学修士。
MBAは、2000年代初頭、ビジネスパーソンが大金をはたいて、こぞって取っていました。取れば、MBAホルダーとして年収アップ。
それが今ではMBA資格は、ある程度落ち着いてきたかと思います。
世間では、MBAなどのDataドリブンの考え方では、今の変化の速い世の中に対応できない。これからは、MFA。
アート(直感)思考が重要になってくると言われています。
バレエをずっとやってきた自分からすると、へー、アートが、そうなん?そういう時代なの?という印象でしかないですが、
確かに、感性というか、ビジネス上、”直感”を持った人は、1つの武器になると思います。
以下、2つ例を出します。
ITビジネスはアジャイル型(スピード勝負からの修正)が優勢
新卒で入った外資のコンサルティング会社では、膨大な資料を用意してクライアントに提出していました。
独立した後、大企業の事業会議に外部参加した時も、ここまでやるの?というくらい、入念な市場調査や、仮説検証、分析などで、提案書、企画書を作り、やっているのを体験しました。
ベンチャーでもMBAやコンサルの経験がある人がいれば、そのようにしているでしょう。
確かにそうすることで、失敗の確率を下げることはできるかもしれません。が、同時に、準備に時間がかかり、コストも膨大、ビジネスプランも角がとれた平凡なものになってしまい、成功の確率も下がるように思えます。
ことITビジネスにおいては、スピードと不確定な市場開拓の両輪をまわしていく必要があるため、
市場ニーズはある程度で、あとは実行者(経営者、起業家)の直感で、えいやーと、まずは実行してみる。
そして、修正をしながら、どんどんあるべきビジネスに展開していく、という方法が有効だといえます。
この方法だと、迅速に進められる一方、ビジネス発案者の直感がずれていて、修正どころではないビジネスプランだと、まわりのVC含めて悲劇ではあります。
メキシコの女の子から学んだ直感力
直感とは、なんでしょうか?
辞書では、『推理・考察などによるのでなく、感覚によって物事をとらえること』
とあります。英語では、Intuition。Inspirationでもいいです。
以前、東日本大震災直後、リモートで講師採用補佐を行ってくれるスタッフを募集し、メキシコにいる20才くらいの女性学生スタッフを採用しました。
彼女には、応募してきた講師の履歴書スクリーニングと、1次面接までをお願いし、詳細な講師選定条件など、社内文書をもとに研修し、スタートさせました。
特に大きな問題も感じられず、2次面接選考者を選抜してくれていたので安心していたのですが、
ふとした時、数日前の応募履歴書を眺めていると、
「あれ、この男性応募者、すごい経歴だ。Cover letterからも情熱伝わってくるし、性格のよさも感じる。講師条件ばっちり!でも、2次に進んでいない・・・。」
疑問に思って、彼女にその応募者について尋ねました。
そうすると、
「あぁ、その人、やばそうだったから落としました」とコメント。
「?!いや、やばそうって、書類だけ見ておかしいでしょう? こちらが用意した応募条件にピッタリだよ。面接で話してみないの?」
「でも、写真も含めて、なんだかやばそうでしたから・・・」
『うーん。この子は、一体何を言っているだ・・・・』と思っていました。
「とりあえず、ヤバそうとか、だと、社内で情報共有して、次にいかすことができないから、きちんと論理だてて、何がどういう風にやばいのか、その根拠などを示して」
と言っても、反応が悪い・・・。
とりあえず、その候補者、面接いれて、僕も入って3人のオンライン面接にしよう、といって実行しました。
結果、
確かに、実態より大きく見せている外国人特有のところはあるけど、笑顔を絶やさずよくやってくれそうな候補者に思えました。正直、この男性の何がやばいのかあまりよくわからなかった。
面接後、スタッフに聞くと、「うん、やばそうですね。」と書類選考の時と同じコメント・・。
ここで彼を通すと、スタッフの機嫌や面子をつぶすことにもなるかな、と思ったのと、
もしかしてと思う違和感もうまれてきたので、落選扱いとしました。
ただ、それ以来、時々、他の落選にした候補者について、理由を聞いてみても、
「なんとなく、雰囲気が、やばそう」
といった感じで、
これは、一緒にビジネスする上で、仕事を共有しづらい子だなと思い、
きりのよい契約期間で仕事終了としてしまいました・・・。ごめんなさい。
結果、その子が「やばそう」と落選にした候補者が本当にやばかったのか、能力なかったのかは不明ですが、その子が選考を通してきた候補者は、どれもよかったので、結構、そのメキシコ人の子の直感はするどかったのかもと今になって思っていた次第です。。
理詰めと直感の両輪
直感力は、たしかにアートでも養うことができると思いますし、それ以外に、犯罪多発地帯など、危険と隣合わせで生活している子も、日々、安全に生きるために直感が研ぎ澄まされていきます。
安全な日本に住んでいる日本人としては、「旅」をし(危険地帯は全く推奨しませんが)、知らない地域に行くことで直感が養われると思います。
あとは、時には、理由で行動せず、その時の感覚に従って行動してみる(人様に迷惑のない範囲で)。
そもそも、人間のDNAには、第6感?などの直感が、狩猟民族の頃から長い年月埋め込まれてきたはずです。それが、左脳の発達で、感覚を司る右脳が弱くなって今になったのだと思います。
右脳的感性は、ないとは思わず、人間なら誰もが持っているものなのです。
ただ、理論的思考か、直感や右脳的思考かを2項対立で考えるのはよくありません。
意見が分かれる場合、その中庸にこそ真実があると思っています。
ビジネスにおいても、全て理詰めで攻めていったり、全て直感で決断するのではなく、
うまく両方を両輪の輪として活用していきたいと思っています。