大学入学試験に公平さを求めるなら、まずAO入試をなくすべきと言いたい


先週、電撃的に、既定路線だった

2020年より、大学入試の英語民間試験(英検、TEAP、TOEFLなど)を使う実施案が凍結』となりました。

正直、ここに来て、中止になるとは思ってもおらず、英語学校運営者としては、結構戸惑っています。

実用的な英語力を身に着けてもらうため、

従来のセンター試験では対応できないので、質が担保された英語民間試験を活用する

というのは、個人的に賛成でした。

反対論者の意見の大きな1つとして、

『お金があって、試験を何度も受けれたり、対策ができる子供が有利になる』

という不公平感

が言われています。

もちろん、試験対策にお金をかければ(もちろん本人の努力も求められます)、成績がアップするのはたしかです。

ただ世の中、完全に平等な試験など存在しませんし、大学入試センター試験だって、塾対策にお金をかけれれば有利になるでしょう。

私は、私立の慶応出身ですが、国立も受けましたので、高校時代、センター試験対策も一生懸命勉強していました。

従来のセンター英語と、英検3級から1級まで受けた経験から、人生に役立つ英語という点からは、明らかに英検(民間英語試験)の方だという個人的な判断もあるので、支持しているわけです。

富裕層子女に圧倒的有利なAO入試

今回、金持ちと、貧乏な子供、都心と地方の子供で、有利不利があるから、公平な試験にしてほしいと言っていますが、それを言うなら、

大学のAO入試

を問題にしましょうと言いたいです。

AO入試とは、巷で、『アホでもOK入試』と言われていますが、

正式には、Admissions office入試の略で、簡単に言えば、自己推薦入試です。

学力試験は課さず、基本、自己PRの書類や論文と、面接だけで合否が決まります(もちろん大学によって多少異なります)。

芸能人の広末涼子さんや、STAP細胞はありますの小保方さんが、早稲田にAO入試で入っています。

自己PRは、

お金があり、親の知的レベルが高く、親のサポートが手厚い家庭だと、人にPRできるような経験を多く積むことができます。

例:子役モデルとして活躍。模擬国連に参加。○○で受賞。アフリカにボランティア参加。中国に植林。親と一緒にビジネスをやって会社起業など。

また、AO入試専門の塾に大金を払えば、そうした経験をNGO設立とあわせて、全て面倒みてくれたりします。

昔は、お金を払って裏口入学などが事件報道されたりしていましたが、今は、そうした事件報道もされず、AO入試で堂々と・・・、と思ってしまったりします。

卒業が楽な日本でAO入試は、学歴ロンダリング?!

AO入試が導入された経緯は、”欧米では~、意欲のある学生を、学力試験以外で測って入学されることで、多様性がー”なんちゃらかんちゃら。

という意見からです。

しかし、欧米の大学は、卒業までが難しく、入学はスタート地点です。

入ったはいいけれど、在学中に頑張らないと、スムーズに卒業できなかったりします。

一方で、

日本の大学は、ご存知のように、大学入学に価値が置かれ、入った後は、あまり勉強しなくても、簡単に卒業までいけます。

ですので、日本にAO入試を普及させたいなら、大学卒業を厳しくするとセットにすべきであったのに、なぜか、卒業楽なまま、自己推薦のAO入試を入れてしまったのが問題点だと考えています。

国内初AO入試導入の慶應では

母校、慶應湘南藤沢キャンパスは、AO入試の先駆けで、

私がいたときは、定員の2割くらいがAO入試の人でした。

5割が一般試験で、15%ずつくらいが、推薦と、慶應高校からの内部進学。

あまり書くと、AO入試の人の悪口になってしまうので、サラッとしておきたいのですが、

口にはもちろん出しませんが、成績では、明らかにAOの人は、ちょっとという感じでした(もちろん個人差はあります)。

一方で、

入った当初、ブルジョワ連中め(笑)、

と若干、やっかみをもっていた内部進学の慶應高校からの人たちが、思った以上に優秀で、性格もよくて、遊びもスマートだったので、よい意味で期待を裏切られました。

AO入試はなくして、推薦入試くらいでいいのでは?

もちろん、指定校推薦の推薦入試も不公平感があります。

高校の内申点が5段階の4.5以上や、高校教師の推薦などが必要ですが、名門高校で、平均4.5をとるのと、非名門高校で、その評定をとるのは、難易度が全然違います。

また、高校の先生気に入られる角がない生徒にしか門が開けていないので、角がある私のような生徒は、最初っから道がない試験です(笑)。

ただ、それでも、地方の子が入りやすい試験ということで、地方格差を是正するために、推薦入試はあっていいかなと思っています。

(一般入試だけだと、環境の整った都心の子供が有利)。

結論

・完全に公平な試験などできないのだから、英語民間試験導入はメリットが大きいので導入すべき。

・本当に不公平を取り除きたいなら、AO入試はいらない。

・AO入試を残したいなら、大学の卒業を難しくして、在学中にふるいにかけるようにすべき。


About 成田 勝行

株式会社イーコミュニケーション代表取締役社長。 慶應義塾大学総合政策学部(SFC)卒業後、世界最大のコンサルティング会社Accentureに新卒入社。退社後、暫くダンス活動(Ballet, Jazz, Hiphop, House, Break'in)に専念。2005年イーコミュニケーション創業。 趣味は、経済ウォッチングと言語習得。 踊れて、経済が語れる、経営者という領域で、世界一を密かに目指す。

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